健康診断で肝機能を測定するには、血液検査やオプションでの超音波検査があります。
肝臓は沈黙の臓器と言われ、障害があっても自覚症状が出にくいので、定期的な健診をしてください。
肝臓には、大きく下記の3つの機能があり、肝臓内で様々な化学反応を起こしています。そのため肝臓が過負荷やウイルスなどで機能を保てなくなると、血液中の肝臓の働きに関わる酵素が基準値から外れてしまいます。血液検査では肝機能に関わる検査項目を総合的に判断します。
【血液検査】
検査項目 |
基準値 |
反映している肝機能 |
---|---|---|
AST(GOT) |
10~40 u/L |
肝細胞の壊死を反映しています。 |
ALT(GPT) |
5~42 u/L |
|
LDH |
124~222 u/L |
|
総ビリルビン |
0.20~1.10 mg/dL |
|
Alb(アルブミン) |
3.8~5.2 g/dL |
肝細胞の合成能障害を反映しています。肝細胞内での合成能が低下すれば、血中濃度も低下します。 |
γ - GTP |
男性10~80 u/L |
タンパク質を分解する酵素で、肝臓・腎臓・膵臓に障害がおこると血中に流れてきます。また、アルコールに敏感に反応し、お酒をよく飲む人では数値が上昇します。 |
腹部超音波検査では、肝臓の大きさや形、コントラスト(通常時や他の臓器との対比)などを観察しています。
肝臓の大きさには個人差はありますが、肥大して(大きくなって)いる場合は、肝炎をはじめ様々な病気が原因と考えられ、萎縮して(小さくなって)いる場合は、主に肝硬変などが原因として考えられます。肝臓の病気は、他の臓器とのコントラスト(対比)でもわかることがあります。例えば、腎臓に比べて肝臓が明るく(超音波の画面上で白っぽく)描出された場合は、脂肪肝である可能性が高いです。
また、形については主に肝臓の辺縁を見ています。鋭い部分が鈍化していないか、滑らかな部分がボコボコしていないかなどを見ています。仮に形に変化が見られた場合も、肝障害などが疑われます。
このように超音波検査では、病気はもちろんのこと、肝臓の状態を知ることができます。
ちなみに、肝臓の検査にはCT検査やMRI検査もあります。
CT検査やMRI検査は、肝臓も含めて腹部全体を把握するには向いている検査です。しかし、超音波検査は小さな病変の検出能力が高く、被爆などのリスクもない為、他の検査に比べ、気軽に受けることができる検査だと思います。
腹部超音波検査は、肝臓以外にも胆嚢、腎臓などお腹に関する臓器を観察します。
その為、検査前に食事をしてしまうと、腸内ガスが出てその影響で見えづらい部分が出てきてしまいます。検査時間によって、どの食事を止めなければならないのか指示があるので、その通りに食事は我慢しましょう。